ふたりのこと
大分県別府市生まれ、熊本育ち。8歳のとき父の研究でマサチューセッツ州ケンブリッジへ家族で移住し、しばらくして家族とともに東京に戻りましたが、またひとりでニューヨークへ渡り、コロンビア大学へ進学しました。以来ずっとニューヨーク近郊で暮らしています。渡米してからも、湯布院はいつも私にとって特別な場所でした。中学生の時学校に提出するエッセイで湯布院について語ったほどです。今回、自分の故郷の近くでこの日を皆さんと一緒に迎えられることが、とても嬉しいです。
ニュージャージー州南部育ち。父は上海、母は台湾・基隆の出身で、毎夏台湾を訪れるたびに、祖父母が家族を連れて日本へ旅していました。祖父は日本語を話し、孫たちにも学ばせたかったようです。結局 Sam の日本語は身につかず英語なまりの中国語になってしまいましたが、日台の複雑で豊かな文化的繋がりへの、言葉にならない深い理解は自然と育まれました。Samも私と同じく、物心がつく前よりバイオリンを弾いているため、カルチャーが異なっていても言葉にできない何かを感じ取ることができたのだと思います。
ふたりの出会いは、コロンビア大学1年生のときで、室内オーケストラで席が前後ろだったことがきっかけでした。鈴夏はSamをボストン時代のニューイングランド音楽院の知り合いだと最初は間違えて、何度も「NECには一度も行ったことがないし、その人は別人だ」と説明されてもなかなか納得しなかったほど、彼になんだか妙な懐かしさを感じていました。
Samはその後も毎週リハーサルのたびに「鉛筆を貸して」と話しかけてきました。後になって判明したのですが、バイオリンケースの中にいつも自分の鉛筆をちゃんと持ってきていたみたいです。その後はしばらくお互い忙しくなったのですが、3年生のときにHavemeyer Hallでの有機化学の授業でまた席が偶然隣り合わせになり、それから一緒に試験勉強をするうちに仲良くなりました。
2019年4月5日、メトロポリタン美術館のアメリカ館で、Samが正式に交際を申し込んでくれました。私は、そこに展示されていた《人間の中のふたつの性の葛藤》の作品に刻まれたコウモリのようなヘンテコな生き物が気に入っていたので、その隣で告白してくれました。そして、去年の4月に Catskills に登山に行った際、その頂上でプロポーズを受け(渋幕で富士登山をしたとき以来、山頂でプロポーズされるのが夢でした笑)、今に至ります。
George Grey Barnard · The Struggle of the Two Natures in Man, 1894 · Metropolitan Museum of Art
2019年4月5日 · メトロポリタン美術館、ニューヨーク





